今後の傷病手当金の改正動向
傷病手当金の制度は徐々に変わってきています。今後の傷病手当金に関する動向の変化があれば、掲載します。
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傷病手当金の支給期間はサラリーマンよりも公務員が優遇されています
2017年2月3日。衆議院予算委員会で塩崎厚生労働大臣は、官民格差の是正を行う方針を明言しました。
内容は、中小企業、大企業の社員が所属する健康保険組合では、支給開始から1年6ヶ月経過すると、それ以降傷病のために仕事ができない状態になって欠勤しても、傷病手当金は1円っも支払われません。
ところが、公務員の所属する共済組合や私立学校教職員の所属する私学共済では、支給開始から1年半ではなく、支給日数が通算で1年6ヶ月までは支給を受けることができます。
この格差は厳しい状態で収入0円の生活をしている会社員や退職者にとってはかなりの不公平だといえます。
健康保険組合の支給期間を公務員の支給期間の方に合わせてもらうよう改正をしていただきたいものです。
最もこの格差を感じる病気はガンです。癌患者さんが働きながら抗癌治療をする場合、治療や入院などで時折欠勤が必要になることが多くなります。
皆保険制度でありながらのこの不公平に対して会社員の支給方法を改善するとの方針が示されました。
平成28年度4月から傷病手当金の計算方法が変更となりました。
平成27年度健康保険法改正がおこなわれました。平成28年度4月から、支給開始される前1年間の給与を基に計算された金額で支給されます。
それまで3ヶ月の給与から月額報酬額が決まっていました。これが1年間の給与を基に計算となったので、4倍に伸びました。
平成28年3月31日までの支給額
1日当たりの金額 (休んだ日の月額報酬額)÷30日×2/3
平成28年4月1日からの支給額
1日当たりの金額 (支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬額月額を平均額)÷30日×2/3
支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合
次の2つを比較して少ない方の額を使用して計算します。12カ月未満だったら、標準報酬月額は最高で28万円に制限されたということです。
- 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬額の平均額
- 28万円(当該年度の前年度の標準報酬月額を平均した額
支給開始日以前に12か月の標準報酬月額がある場合
支給開始日以前の12か月間の各月の標準報酬月額を合算して平均額を計算します。
少子・高齢化を背景にした健康保険財政は非常に厳しい状態だと言ういことは理解できるところです。傷病手当金の支給条件・支給金額・支給期間の見直しも必至です。実際、協会けんぽでは、次の様な傷病手当金の見直しが検討されています。 雇用保険の支給条件や支給額水準を意識した改正案を検討しているようです。(平成25年1月現在)
1.傷病手当金の上限・下限の設定
上限は、標準報酬月額約32万円(傷病手当金は約21万円)、下限は約5万円にする方向で検討されています。現行の最高額は月額約81万円(121万円×2/3)という水準です。
2.傷病手当金の受給に必要な期間の設定
現在は、在職中の場合、傷病手当金受給要件として健康保険の加入期間が設定されていません。しかし、これを6か月以上とする方向で検討されています。大きな変更としては加入期間6か月未満の場合は、支給額を半減する(標準報酬日額の2/3→1/3)、支給期間の半減(1年6か月→9か月)が検討されています。
3、傷病手当金支給額の減額
現行の標準報酬日額の2/3を6割に引き下げる方向で検討されています。(平成19年に標準月額報酬の6割から3分の2に引き上げられたものが、元の6割に戻るということです)手当金そのものの計算をする基準になる標準報酬日額の上限が下がるうえ、支給額も2/3から60%に下がるように検討されています。
保険者単位での設定
現行では法定給付は被用者保険(協会けんぽ、組合健保、共済)共通だが、保険者単位で設定できる仕組みが考えられている。
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